音と時間
最近、よく聴いているのは
500年前にイギリスの作曲家が
描いたものだという。
でも、私はこうして
その調べを聴くことができる。
このまえ、聖徳太子の御衣の端切れ
というものを見た。本当かは分からないし
声は聴こえなかったが、そうして
存在の余韻を大切に誰かが保ってきた。
500年前、1500年前。
子どもの頃、それはとても遠い世界だと
思っていたけれど、いまは、
わりと近いところにあるように感じる。
時間は線的に進んでいるだけのものでは
ないなとつくづくおもう。
そう認識することもできるけれど。
何百年もの間
誰も叩いていない鍵盤があったとして
その音は過去にあるのかといえば
いま、それは目の前にある。
もし、誰かがその音を弾くのならば。
この音楽を、すこしは違ったとしても
大きくは異ならない状態で
500年前の誰かも聴いていたとしたら。
そんなことを想いながら聴くのが楽しい。