SENSE OF PRESENSE – 世界は響きあうからだ –

人間と自然をつなぐ芸術–art–へ向かって。感覚・表現・交感のゆたかさを探求する旅のノート:松井雄一郎

有限の色彩の向こうの無限へ

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ワークショップ、明後日から、始まります。

 

すっかり今日は暑さの中に秋の香りが混じり

いそがしいながらも気持ちよく過ごしました。

 

これで、ワークショップ前、最後の告知にします。

 

「色彩との対話」というワークショップをやります。

9/2は満席。9/3のみ、あとお一人、席があいています。

なにか感じる方、ぜひこの機会にご一緒ください。

 

このワークショップのもとになっているものの話。

 

大元の大元は、私が武蔵野美術大学

視覚伝達デザイン学科で担当していた

色彩構成の授業です。

 

学生が絵の具で

ひとり100色以上のカラーチップを

つくってきたものを用いて

その「色とりどり」のなかに、

みんなで秩序や自分達なりの視点を

見出していくというもの。

他の先生たちがつくってきた

色彩の基礎の授業でした。

 

ある色が、隣り合う色によって

まったく異なる見え方をすること。

色を分類するときに、人によって全く異なる

感じ方や考え方をすることがあること、など

一般的な色彩論に近いような視点でしたが

それだけでも十分に楽しめるくらい、

色彩は面白かった。

すごく面白かった。

 

色数がある量をこえたときに

個別性と同時に、

色彩というものの広がり…

空間としての性質が、感じられるのです。

 

そして、もうひとつの「元」には

カウンセリング、とくに、

パーソンセンタードアプローチ

という考え方に触れてきた経緯があります。

 

一切の評価や解釈の態度を手放して、

その人の感覚の動きを信頼して、

徹底的に共感的についていったときに

その(人)自身の生命力が、どんどん

生きていく、流れ、動いてく、

 

そんなことを経験するなかで、

目的のために色を使うのではなく

色彩感覚それ自体に徹底的についていく

そこから見えてくる風景の面白さを

見出していきました。

 

この姿勢は、アートセラピーなどでも

用いられていると思います。

特に、私が一時期興味をもっていた

表現アートセラピーの分野では

たとえば、言語を介さずに

直感的に描かれた絵にたいして

あとから「動勢」としての言葉や概念を

添えていくようなことをしました。

「この絵が喋るならなんて言うと思う?」

という具合に。

 

これは、すごく面白いんだけれど。

一方で、言葉や概念は容易に感覚を裏切り

古い枠組みにしがみつく、という

私なりの警戒心もあり

 

僕のワークショップでは、なるべく

概念に回収せず、色を色のまま

変幻させていく、展開させていく

そういう時と場をつくるようにしています。

 

ちょっとぼけました。

 

色それ自体の性質が、

私たちにたくさんのことを

教えてくれる、届けてくれる

それが、このワークショップの基礎です。

それは、すでに世界から与えられたものです。

 

そして

 

人間として色彩の広がりに対峙するとき

安易な概念・言葉に回収せずに

どんどん感覚の声を、色彩の声を聴き続ける。

 

そんなふうに、色彩にどっぷり浸かり

1日を過ごした時に。

 

私たちはもう一度、

世界に出会い直します。

 

自分の、誰かの、肌の色を知ります。

夜空の深さを知ります。

光の硬さと柔らかさを知ります。

記憶から滲み出る色彩を知ります。

聴こえてくる音も、水の味も

すべてを色彩のように

純粋に経験することが

できるのではないかと思います。

 

色彩は、私たちにとって

きわめて純度の高い媒質です。

音楽になる前の、楽器に収まる前の、

響きそのものです。

 

私たちがこの手で扱える

物質的な色彩は、無限でもあり

限られてもいます。

 

けれど人間は

その有限の世界をよく見つめることで

その向こうにある広がりを

思い出すことができます。

 

なんの枠にも収まっていない

色、そのもの。

 

そこからはじまって、

そこへ帰っていく

 

そんな1日になればと

思います。

 

やっぱり、なにをやるかを

書いても仕方ないや。

 

こんなことをずっとずっと考えて

デザインや美術の、表現と対話の

基礎にならないかなって

思ってやってきました。

 

これから、

みなさんと分かち合うことを

初めていきます。

 

これまでもやってきましたが

私にとっては、新しい一歩が

この週末のワークショップです。

 

ご縁のあるみなさまと

時を共にできることを

楽しみにしています。

 

読んでくれて、ありがとう。

 

 

9/3 日

ワークショプのお申し込みはこちらから

https://www.reservestock.jp/events/209299

 

もしかして、9/2 にキャンセルが出た場合

連絡が欲しい方はfacebookからメッセージください。

https://www.facebook.com/yuichiro.matsui.7