SENSE OF PRESENSE – 世界は響きあうからだ –

人間と自然をつなぐ芸術–art–へ向かって。感覚・表現・交感のゆたかさを探求する旅のノート:松井雄一郎

ちょうど、響きあう距離

こないだ、バーに行ったときのこと。

ワインと小さな料理を頼んだけど
それぞれすごく個性があって
味わうタイミングが近すぎると
どうもぶつかるような感じだった。

ので、料理を食べて、
余韻が消えるか消えないか消えるか
って頃にワインを少し含んで、とか
香りだけの時間を長めに楽しんで、とか

そうやって、ふたつの距離(タイミング?)
を変えながら、ちょうど楽しめるあたりを
探したりするのが、ものすごく楽しかった。

なんでも口の中で混ぜればいいものではない。
音を同時にならせばよいものではないように。

香りや味にも、ちょうど響きあう
距離やタイミングがあることを
その日に発見してすごく興奮した。

あう、あわない、ではなく。
もっと繊細で変化に富んだ楽しみ方。

ああいうことを楽しみはじめると
もうこの世界って本当に飽きない。
酔うどころか、どんどん醒めてくる。

誰かとの会話も
文字のレイアウトも
ぜんぶそういう間の取り方で
響きが変わってくるんだから
とにかく楽しいことだ。

それにしても最後に食べた
プリンとウィスキーの
あの美しさが、脳裏というか
あざやかに鼻腔に蘇る。