風が届く
久しぶりに、自然に瞑想した。なんのためでもなく、どこにもいかずに、ただ座って、この身体にちゃんといて、呼吸して。眼をあけたら夕刻の空の変化があって、また眼を瞑って、バスの音も鳥の声も同時に聴いて、ふと友だちのこと思い出して、またここの呼吸に戻って。ただそれだけのことだ。できるだけのことをして。なるようになればよい。
自分の部屋の窓から眺める、小さいが凛とした美しい山が好きだ。そこにある木々が好きだ。いつだって、そういうものを眼で追っている。彼らは、いつもそこで呼吸している。先の心配したり見栄をはったりしないで、風を受けて、自分の場所にいる。そういう樹々に触れた風が、山から吹いてきて、私に届く。