SENSE OF PRESENSE – 世界は響きあうからだ –

人間と自然をつなぐ芸術–art–へ向かって。感覚・表現・交感のゆたかさを探求する旅のノート:松井雄一郎

根源へ立ち戻ろうとする力

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もしもひとそれぞれに

「世界観」

というものがあるのなら

それは、世界を見ながら

“私”という存在をどう感じているか

ということなのだと思う。

 

それぞれが

いま生きているということの

根源にある

 

言葉になるまえの

意思のようなものがあって

 

その根源へと

立ちもどろうとする力・

そこに居ようとる力が

 

人には生まれながらに

あるような気がしている。

 

そして

 

そこから溢れてくる力を

自らに流していることと

 

この世界での現実的な表現や

人との交流・対話のかたちとが

自然につながっていることが

案外難しいのだけれど

とても大切なのだとおもう。

 

そんなことを目指してやっている。

 

教育もデザインもワークショップも

おそらく他愛ない友人との会話もすべて

気がつけば、その視点に

いつでも立っている。

ものすごく微かで、ものすごく広い

たぶん誰にでも、なんでもないときに、ちょっと自然の光のさしかたが変わって、ああ、幸せだなって、感じる時があるよね。そういう感じって、なかなか、誰かと共有したりできないものだし、ふっと現れて、しばらくわたしを包んでは、また消えていったりするんだけれど、ちゃんとその「幸せだなって感じ」を受け取っていると、その感じのなかに、たくさんの人の顔が浮かんでは消えていったり、たくさんの時間が広がっては去っていったり、するよね。そういうときに、ちゃんと自分は誰かとともに在るなって、自分でいるなって、安心して身を委ねてみることにしてみる。そういう微かなんだけれど広がりがあって、無限の繋がりとともにあるようなことを、ちゃんと受け取れる、味わえる、そしてそれを握りしめずに、力を抜いて、ただそこにいられる、そういうことを大切にしたいなと思う。

言葉にならない「感覚」に近づいていくための作法なんだな

なんかわかんないけど
感じていることがあるとか

なにかぼんやり
掴みかけていることが
ある気がするとか

なにか大事なことが
見えてきている気がするとか

なにかが変わり始めている
気がするとか

そういうとき。

思考ではうまく捉えられないれど
感覚は確かに動いている時。

「それ」をすぐに掴みにかからずに

適度なコンタクトを保ちつつ

その先に、奥に、そこにある感覚に
近づいていく というような

「作法」が大事だと思っている。

そういうふうにしていると

あるとき、ふと目があって
ぴょんと猫が膝に乗ってくるように

イメージやアイデアが
進むときがある。

あるいは気がつけば
即、行動している。
かたちになっている。

感覚にチューニングしていくのって
そういうものじゃないかな。

僕の場合そこに言葉を介在させないのが
ポイントになっている。

だから色でやったり身体でやったりする。

言葉もつかうけれど
それは思考や分析や構築ではなくて
感覚に近づいていくためのもの。

私のワークショップは
そういう、ある意味遠回りで
でも強力な、コーチング
みたいなものでも
あるんじゃないかなと思うな。

いや、コーチングがなんだかは
わかってないけど(苦笑)

とにかく、生きていくうえで
なにか役に立つ、いえ、
力になるんじゃないかなと
やっぱり思います。

どんどんやっていきます。

次回は10月末から11月初旬で
開催しようと思ってます。

関東/関西どちらもやりたい。

そっと触れること

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女の子が 道端の草の実をみつけて
手を伸ばして ちいさな指でそっと触れる

 

父親はその様子をすこし先で立ち止まって
眺めている

 

そんな風景を窓のこちら側から見ていた

 

そっと触れる ということが
とても美しく感じられた。

 

子どもはその草にそっと触れ
父親はその子どもの姿にそっと触れている
その全体を夕暮れの空気が包んでいる

 

アイヌの言葉、挨拶
イランカラプテ には

 

あなたの心に そっと
触れさせていただきます

 

という意味があることを
先日教えてもらった。

 

私たちの思い込み…

 

強くなければならない
衝撃に耐えられなければならない
摩擦に耐えられなければならない
乱暴に扱われることに
耐えられなければならない
私を鍛えなければならない

 

そう思ってしまいがちな頑な心を

 

あの子どもの指先のような繊細さが
ほどいてくれるように思った。

 

あの繊細さから
もう一度 世界を見直してみようと思った。

 

次回のワークショップは
10月の後半〜末で開催しようと思います。
また、お知らせをします。

有限の色彩の向こうの無限へ

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ワークショップ、明後日から、始まります。

 

すっかり今日は暑さの中に秋の香りが混じり

いそがしいながらも気持ちよく過ごしました。

 

これで、ワークショップ前、最後の告知にします。

 

「色彩との対話」というワークショップをやります。

9/2は満席。9/3のみ、あとお一人、席があいています。

なにか感じる方、ぜひこの機会にご一緒ください。

 

このワークショップのもとになっているものの話。

 

大元の大元は、私が武蔵野美術大学

視覚伝達デザイン学科で担当していた

色彩構成の授業です。

 

学生が絵の具で

ひとり100色以上のカラーチップを

つくってきたものを用いて

その「色とりどり」のなかに、

みんなで秩序や自分達なりの視点を

見出していくというもの。

他の先生たちがつくってきた

色彩の基礎の授業でした。

 

ある色が、隣り合う色によって

まったく異なる見え方をすること。

色を分類するときに、人によって全く異なる

感じ方や考え方をすることがあること、など

一般的な色彩論に近いような視点でしたが

それだけでも十分に楽しめるくらい、

色彩は面白かった。

すごく面白かった。

 

色数がある量をこえたときに

個別性と同時に、

色彩というものの広がり…

空間としての性質が、感じられるのです。

 

そして、もうひとつの「元」には

カウンセリング、とくに、

パーソンセンタードアプローチ

という考え方に触れてきた経緯があります。

 

一切の評価や解釈の態度を手放して、

その人の感覚の動きを信頼して、

徹底的に共感的についていったときに

その(人)自身の生命力が、どんどん

生きていく、流れ、動いてく、

 

そんなことを経験するなかで、

目的のために色を使うのではなく

色彩感覚それ自体に徹底的についていく

そこから見えてくる風景の面白さを

見出していきました。

 

この姿勢は、アートセラピーなどでも

用いられていると思います。

特に、私が一時期興味をもっていた

表現アートセラピーの分野では

たとえば、言語を介さずに

直感的に描かれた絵にたいして

あとから「動勢」としての言葉や概念を

添えていくようなことをしました。

「この絵が喋るならなんて言うと思う?」

という具合に。

 

これは、すごく面白いんだけれど。

一方で、言葉や概念は容易に感覚を裏切り

古い枠組みにしがみつく、という

私なりの警戒心もあり

 

僕のワークショップでは、なるべく

概念に回収せず、色を色のまま

変幻させていく、展開させていく

そういう時と場をつくるようにしています。

 

ちょっとぼけました。

 

色それ自体の性質が、

私たちにたくさんのことを

教えてくれる、届けてくれる

それが、このワークショップの基礎です。

それは、すでに世界から与えられたものです。

 

そして

 

人間として色彩の広がりに対峙するとき

安易な概念・言葉に回収せずに

どんどん感覚の声を、色彩の声を聴き続ける。

 

そんなふうに、色彩にどっぷり浸かり

1日を過ごした時に。

 

私たちはもう一度、

世界に出会い直します。

 

自分の、誰かの、肌の色を知ります。

夜空の深さを知ります。

光の硬さと柔らかさを知ります。

記憶から滲み出る色彩を知ります。

聴こえてくる音も、水の味も

すべてを色彩のように

純粋に経験することが

できるのではないかと思います。

 

色彩は、私たちにとって

きわめて純度の高い媒質です。

音楽になる前の、楽器に収まる前の、

響きそのものです。

 

私たちがこの手で扱える

物質的な色彩は、無限でもあり

限られてもいます。

 

けれど人間は

その有限の世界をよく見つめることで

その向こうにある広がりを

思い出すことができます。

 

なんの枠にも収まっていない

色、そのもの。

 

そこからはじまって、

そこへ帰っていく

 

そんな1日になればと

思います。

 

やっぱり、なにをやるかを

書いても仕方ないや。

 

こんなことをずっとずっと考えて

デザインや美術の、表現と対話の

基礎にならないかなって

思ってやってきました。

 

これから、

みなさんと分かち合うことを

初めていきます。

 

これまでもやってきましたが

私にとっては、新しい一歩が

この週末のワークショップです。

 

ご縁のあるみなさまと

時を共にできることを

楽しみにしています。

 

読んでくれて、ありがとう。

 

 

9/3 日

ワークショプのお申し込みはこちらから

https://www.reservestock.jp/events/209299

 

もしかして、9/2 にキャンセルが出た場合

連絡が欲しい方はfacebookからメッセージください。

https://www.facebook.com/yuichiro.matsui.7

食い破って出てくる

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ある戸棚のなかに、近頃、

ちいさな虫がいるなあって思ってた。

 

で、今日やっぱり戸棚のなかに

なにか出どころがありそうだなと

思って、奥まで片付けてみた。

 

そしたら、棚の奥の奥に

忘れていた植物の実のなかから

たくさんの小さな虫たちが

生まれていた。

 

一瞬ギョッとしたけれど

生命力ってすごいな、

なんだか、もはや、美しいなと思った。

 

袋に手を伸ばして

さらにビックリした。

 

その小さな虫たちは、僕には

見ることもできないようなちいさな歯で

ポリエチレンの厚い袋をも噛み破って

外の世界へと、飛び出していた。

 

飛び出したところで

力尽きたものもたくさんいたけれど。

 

その虫をみるようになったのは

比較的最近からだったから

この季節に、旅立ちを迎えたのだと思う。

  

光も届かない戸棚の奥で

生命はずっと外へと飛び出る

その日を待っていたんだと思うと

覚えていたんだと思うと

 

このちいさな生き物のように

私の中にいて、私を食い破って

飛び出そうとしているような

そういう生命があっても

おかしくないなと思った。

 

いままでならば

 

食い破られるのが自分で

出てくるのは、

得体の知れないなにものかだと

思っていただろうけど

 

今日はなんとなく

食い破られる私は古いもので

外へ出ようとするものの方が

自分に近いのではないかと

なんとなく感じたりしている。

 

生命って、なんだろう。

自分て、誰だろう。

いまって、いつだろう。

ここって、どこだろう。

 

そんなことを問うことは無駄だと

誰が私に言い聞かせてきたんだろう。

 

さあ、午後の仕事へ、向かおう。

workshop『色彩との対話』(2)

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workshop「色彩との対話」

土曜日は満席見込となりました。

日曜日はまだ席があります。

 

男の子は青。女の子は赤。危険は黄色。

そうじゃなくて、もっと明るい色をつかいなさい。

 

そんな、あちら勝手の視線に傷つき

気がつかないうちに萎縮してきた心と感覚を

取り戻すチャンスをくれるのは、それでも

人、なんだと思うんです。

 

しかも、感覚の近い人、ではなく

異なる感覚の人との交感だと思います。

 

相互評価も自己批判もはたらかない場で

自分の感覚に集中し、共有し

互いを感じ、適切な距離と接し方で

表現を受け止めあった時に

 

自分の感覚への信頼と

他者の存在への信頼が

同時に浮かび上がってくる

動きが生まれてくる

 

そんな感じがしています。

 

んーーーーーもうちょっと

深く潜って書きたいけれど

今日はここまでで、共有してみます。

 

 

ワークショップ

「色彩との対話」

 

日時

9 / 2 土 10:00–18:00

9 / 3 日 10:00–18:00

 

参加費

13,000円(特別価格:材料費込)

 

定員

各日 5

 

会場

東京・文京区千駄木

(詳しくは申込後に連絡)

 

お申込方法

それぞれの日付につき、

以下サイトよりお申し込みください。

サイトでの申込 > お振込

の完了をもって受付完了となります。

 

92日(土):

 

https://www.reservestock.jp/events/209296(満員御礼)

 

 

93日(日):

 

https://www.reservestock.jp/events/209299

 

 

以下、お申し込み前にご確認ください

 

◎キャンセル料について

参加者のご都合でキャンセルなさる場合にも

お振込頂いた参加費の返金は致しかねます。

 

ご了承のうえお申し込みください。

 

◎記録について

ワークショップ時間中に、写真を撮影したり

音声での記録をする可能性があることを

予めご了承ください。ご本人の承諾を得ずに

広報などに利用することはありませんので

ご安心ください。

 

◎材料について

ワークショップで使用する材料は用意します。

どうしても使用なさりたい画材がある方は

持参頂いても構いませんが、使用できない

可能性もありますので、ご了承ください。